2019年3月29日の第83回日本循環器学会学術集会における、国立病院機構京都医療センター 先端医療研究部 先端医療技術開発研究室 和田啓道 先生のプレス発表です。

VEGF-Cは安定型冠動脈疾患の死亡リスクと逆相関する
-国立病院機構ANOX研究-

研究概要

【目的】
リンパ管系はコレステロール代謝や心血管病において重要な役割を果たしている。しかし、リンパ管新生因子である血管内皮増殖因子C (VEGF-C)が、安定型冠動脈疾患患者の死亡や心血管イベントと関連しているかどうかは不明である。この点を明らかにすることを目的とした。
【方法】
国立病院機構前向きコホート研究(ANOX研究)に登録した安定型冠動脈疾患患者1,460名において、血清VEGF-Cと3年以内の全死亡、心血管死亡、複合心血管イベントの関連を検討した。
【結果】
VEGF-Cレベルは既知の危険因子で調整した後でも、全死亡、心血管死亡と有意に逆相関した。既知の危険因子と心血管バイオマーカーを用いて最適化された全死亡の予測モデルにVEGF-Cを追加すると、予測性能がさらに向上した。
【今後の発展性】
VEGF-Cの低下を克服して生命予後を改善すような新規治療法の開発にもつながる可能性がある。

【当社からの質問】


まだ、VEGF-Cを増やす薬はないとのことですが、開発の予兆などはありますか?
今のところはありません。
健康な人でも、VEGF-Cが低いことはありますか?
心臓の危険因子を炙り出した研究であるFramingham Heart Studyでは、VEGF-Cの変異とLp-PLA2 mass(脂質代謝マーカー)との関連がありました(Atherosclerosis. 2009;204:601–7) 。 当時は VEGF-Cと心臓病との関連はわかりませんでしたが、遺伝的にVEGF-Cが上がらない方は心臓のリスクが上がりやすいかもしれません。現段階では明確なことは言えませんので、今後更なる研究が必要と考えます。
VEGF-Cの値を知ることができれば予防もできそうですが、この検査は普及していますか?
VEGF-Cは、まだ検査の最適化ができておりません。VEGF-Dについては、肺の希少疾患(リンパ脈管筋腫症) の診断のための検査として実用化されています。同じ会社の市販化されたキットで検査をしているので、VEGF-Cについても将来的には実用化に結び付けることができるのではないかと考えます。

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