How Does the Volume of Alcohol Consumption Influence Organ Damage in Hypertensive Patients?: Assessment Using Ultrasonographic Parameters

研究概要

【目的】高血圧患者における超音波検値パラメータを使用して、アルコール摂取量が心血管指標に及ぼす影響を調査した。

【方法 】高血圧患者を対象として、摂取したアルコール飲料の頻度および種類に関する情報を収集した。アルコール摂取量により、患者を以下の4つのグループに分け、各種検査値を比較した。

【結果 】飲酒量別の4グループは、摂取なし(n=96)、少量(0〜25mL;n=18)、中等度(25〜50mL;n=22)、高用量(50mL以上;n=19)だった。摂取なしのグループでは、他のグループと比べて女性の割合が高く、喫煙は高用量群での割合が高かった。平均IMTは、高用量群では、他の群と比べて有意に高かった。LVMIは、摂取なし群と少量群と比べて、中等度群と高用量群では有意に高かった。また、多変量解析の結果、アルコール摂取量が多いことは、平均IMTおよびLVMIが有意に上がる要因だった。

【結論】中等度または高用量のアルコール摂取は、臓器障害に悪影響を与えることが示唆された。また、アルコールを摂取しないないし、軽度のアルコール摂取は高血圧にとって決してわるいものではないことも示唆された。

本研究の発表者 JR広島病院 寺川宏樹先生 に、お話をうかがいました。


この研究を実施したきっかけをお聞かせください。
冠動脈疾患のある患者さんでは、栄養指導をして減塩はされているものの、症状や検査値が改善されない方もいます。そういった方では、アルコール摂取量が多いのではないかと考え、調査しました。
IMTとLVMIを指標とされておりますが、その背景についてお教えください。
IMTとLVMIは、どちらの検査も侵襲が少なく、かつ、心血管イベントに直結する指標です。 今回は断面的な調査ですが、縦断的な経過の調査をすることも視野に入れ、これらの指標としました。
今回、各群には、体重(BMI)には有意差がないとのことでした。
体重と各指標の関係性についてはどうお考えですか?
今回はBMIを用いて解析していますが、BMIのとらえ方は男女による違いがあります。男性だけの集団でのサブグループ解析をしてみると、また違うかもしれません。今回はまだそこまで解析できていないので、再度検討したいと思います。
飲み物の種類による違いはありましたか?
例えば、高いウィスキーの場合、悪い影響がない、といったことはありますか?
今回はアルコールの摂取量での解析のため、お酒の種類による違いはわかりませんが、とても興味深いところです。飲まれているお酒の種類は、ビールと焼酎の割合が大きく、母集団のバランスをとることが難しいかもしれません。今後、検討してみたいと思います。
予防の概念はとても大事だと思います。こうしたエビデンスがあると、患者さんたちも飲みすぎに注意してくれそうですが、響きそうでしょうか?
今回、一番数値的に良いのは、飲んでないグループでした。
飲まない生活ができるのであれば、それが一番健康かもしれません。
ただ、飲酒量が多い方に、すぐに断酒を強いるのは困難です。ビール一本ぐらいなら悪い影響ないよ、と患者さんに伝えるエビデンスとしては無理がないものができて良かったとはと思います。 。
心疾患の予防・啓発のために、先生が工夫されていることや、今後取り組んでいこうとしていることなどあればお聞かせください。
塩分を取りすぎないようにとは話していますが、実践していただくことは、なかなか難しいです。
一方、入院した際に自分の体のことをよく知り、生活習慣を改善される方は多いです。
患者さんが自分の検査値など、健康について関心が大きくなった時に、わかりやすく説明することが大事かと思います。
家庭血圧の測定から、健康意識が高くなる方もいますし。
患者さんが健康に関心をもったときに、その気持ちを持ち上げていくことが大事だと思います。
最後に、今後の診療や研究に関する抱負や展望などをお聞かせください。
今回は断面的な調査のため、飲酒期間や量による、予後への影響についても調査できればと考えます。

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