Efficacy of the CAVI as a Predictor of Initial Heart Failure Hospitalization in Elderly Patients with Chronic Heart Failure

研究概要

【目的】高齢慢性心不全患者の初回入院発症予測指標としてのCAVIの臨床的有用性を検討すること。

【方法】心不全入院の既往のない高齢慢性心不全患者を対象とし、CAVIにより3群 (Goup L (<9), M (9-10), H (>10))に分け、心臓関連バイオマーカー (BNP)、酸化ストレスマーカー (d-ROMs test)、心臓超音波所見、および心不全入院のリスクファクターを検討した。

【結果】解析対象は428名だった。(Group L; n=134, Group M; n=152, Group H; n=142, )BNP,d-ROMs test,IVSTdの各指標は、Group Hでは他のグループと比べて値が有意に大きかった。88.1ヶ月の追跡調査期間中の心不全入院に関しては、Group Hでは、有意に高い入院傾向を示した(Group L; 9[6.7%], M; 14[9.2%], H; 35[24.6%]; p<0.001、ログランク検定)。また、ROC曲線から、CAVI値 9.6が心不全入院発症予測の最適カットオフポイント値として示された。

【結論】高齢慢性心不全患者の初回入院発症予測指標としてのCAVIの臨床的有用性が示された。


櫃本内科循環器科医院 櫃本孝志先生 に、本研究のお話をうかがいました。


この研究を実施しようとしたきっかけについて教えてください。
今年で開業12年目ですが、その前は東邦大学医学部附属病院に勤務していました。 東邦大学の恩師である白井先生が当時CAVIの開発に関わっていたこともあり、CAVIには関心がありました。 地元にて開業後、心不全の患者さんが増えていることを肌で感じ、データを精査して、患者さんの治療をしていくことが大事だと考え、CAVIの検査を取り入れてきました。CAVIは3分ぐらいで測定ができ、高齢の患者さんであっても、大きな負担にならず、経過を確認するにはよいと考えます。
CAVIは、8-9は境界域、9以上は動脈硬化の疑いと言われておりますが、今回の結果は、いかがですか?
70歳を超えると9以上になる人が多く、当クリニックでは、高齢者では平均10ぐらいです。 10を超えてくるとリスクはあるかとは思っています。 年齢によるところもありますが、妥当な結果ではないかと思います。

今回の追跡期間は平均で約7年ですが、薬剤の影響はありそうですか?
ARB、CCBはCAVIを下げている印象があります。β遮断薬はニュートラルですね。スタチンで改善するとの報告もあります。SGLT2阻害薬によるCAVIへの影響は、当院ではもう少しデータを集めてから解析したいと思います。
今回は高齢者での研究でしたが、若年層でも、心不全入院の予測因子としてのCAVIの値は、同じぐらいの目安となりそうですか?
今回の研究では若年層で50代ぐらいでした。 CAVIの値が同じ場合、高齢者と比べると、若い人の方が予後に影響すると考えます。 若くして値が高い人には特に留意して治療する必要があります。
先生は様々なご研究をなさっております。やはりエビデンスを紹介すると、患者さんも基準値を意識して治療されたり、生活習慣を改善されたりしますか?
受け取り方は人それぞれです。私は情報の伝え方に注意しています。伝え方によっては、ショックを受けてしまう人もいるので、正確に、誤解のないように伝えることが大事だと考えます。
心不全の予防啓発について、先生が工夫されていることや、今後取り組んでいこうとしていることなどあればお聞かせください。
患者さんと一緒に治していく、という姿勢を大事にしています。 何かを促すというようなアプローチではなく、クリニックのスタッフと一緒に治していこうという気持ちになっていただけるように、患者さんとお話しすることを心がけています。一人で頑張って治そうと思っても、途中で諦めてしまいそうな時が来るかもしれません。患者さんに寄り添い、一緒に治す気持ちが伝われば、治療のモチベーションを上げることができると思います。
最後に、今後の診療や研究に関する抱負や展望などをお聞かせください。
今回は追跡期間が平均7年の観察研究です。今後は、CAVIの平均値が10以上の患者さんへの積極的介入治療により、長期的にどのような改善効果が得られるかを調査し、より良い治療につなぐことができればと思います。

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